会社を設立したら法人口座を開設した方が便利ですが、1つの法人口座だけでやり繰りしようと考えている経営者の方々も多いのではないでしょうか。
結論を述べると、法人口座は複数開設して使い分けることをおすすめします。
この記事では、法人口座を複数開設するメリットや2つ目以降におすすめの法人口座について詳しく解説します。
法人口座を複数作成しても問題はない
個人口座を複数持てるのと同じように、1つの法人が複数の法人口座を保有すること自体は何の問題もありません。
複数の法人口座をうまく活用すれば、1つの法人口座だけでやり繰りするよりも便利になります。
しかし、何も考えずに複数の法人口座を開設しても意味がないので、各金融機関の特徴を理解して法人口座を作ることが重要です。
メイン銀行(実店舗)とネット銀行口座を持っておくのがおすすめ
結論を述べると、法人口座を複数持つならメインバンクとして「実店舗のある銀行」を、サブバンクとして「ネット銀行」を選ぶのがおすすめです。
そもそも、金融機関は性質の違いから以下の5つに分類できます。
金融機関の種類 | 実店舗の有無 | 特徴 |
---|---|---|
メガバンク | ◯ | 全国・海外に支店がある知名度が高く口座開設で信用されやすい。 高額融資にも対応審査は厳しく各種手数料は高め。 |
地方銀行 | ◯ | 特定の地域内で店舗を構える地域密着型。 地域内での信用力は高めで親身に相談に乗ってくれる。 銀行ごとで経営状態は異なる。 |
信用金庫 | ◯ | 各地域に根付いた非営利法人。 中小企業を中心に取り扱い融資を受けるには一定条件あり。 銀行よりも審査は易しめ。 |
ネット銀行 | ×(一部例外あり) | 原則実店舗なしでWEB上で取引。 口座維持費は無料・振込手数料は割安のところが多い。 信頼性はやや低い。 |
ゆうちょ銀行 | ◯ | 全国の郵便局で取引。 預金限度額が1,300万円と少ない。 法人への融資は未実施。 |
実店舗がある銀行は、担当者がついて親身になって融資の相談なども対応してくれます。
一方、ネット銀行は手数料の安さやWEB上で取引が完了する利便性がメリット。
特徴の異なる法人口座を複数持てば、それぞれの強みを活かせるので業務効率化につながりやすくなります。
同一銀行で複数口座の作成ができない場合もあるので注意
1銀行につき1つの法人口座が原則なので、複数の法人口座を作るなら口座の数だけ異なる金融機関を利用することが一般的です。
一部のネット銀行では複数の法人口座を作成できますが、実店舗がある銀行においては複数の法人口座を持つことはできません。
同じ銀行で複数の法人口座を作成しようとしている企業は注意しましょう。
また、実店舗がある金融機関での法人口座の開設は、本社住所の近くにある支店で行うようにしてください。
本社から離れた場所に法人口座を作ろうとすると審査落ちのリスクが高まるうえ、対面相談もしにくくなるのでメリットはありません。
法人口座を複数作成する5つのメリット
法人口座を複数開設することで得られる具体的なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
目的ごとに口座を使い分けることができる
法人口座を複数作ると目的別で資金を分けられるので、キャッシュフローを把握しやすくなります。
口座の分け方の具体例としては以下が挙げられます。
どのように分けるのがベストかは企業ごとに異なりますが、目的に沿って口座を使い分ければ業務効率化を実現しやすくなるはずです。
振込手数料の節約につながる
複数の法人口座を保有した方が振込手数料の節約をしやすいので、コスト削減につながります。
振込手数料は金融機関ごとに設定されていて、複数の法人口座を保有しておけば振り込む口座の選択肢が広がります。
また、振込先によっても手数料は異なり、他銀行からの振込より同じ銀行での振込の方が安くなるのが一般的です。
つまり、主要取引先と同じ銀行の法人口座を保有しておけば、振込手数料を節約することができるはずです。
取引実績として信用性が上がり融資が受けやすくなる
複数口座で入出金取引を繰り返していると、金融機関からの信用性が上がりやすいです。
信用されれば融資を受けやすくなるので、事業を拡大する際の資金調達が簡単になります。
また、複数の法人口座を持っていれば各金融機関の融資条件を比較できるので、より良い条件で融資を受けることも可能です。
銀行が破綻した際にリスクを最小限に抑えられる
金融機関が破綻すると、預金保険制度により1,000万円と利息は返金されます。
ところが、1,000万円を超える預金については保障の対象外なので、戻ってこない可能性が高いです。
そこで、1,000万円以上の資金がある場合は複数の法人口座に分散させることで、金融機関が破綻した場合のリスクを軽減できます。
例えば、普通預金が3,000万円ある場合は以下のようにリスクが異なります。
もちろん金融機関が破綻しなければ預金を分散させる必要性は少ないですが、万が一のことを考えて預金を分散させておくと安心です。
複数の銀行の特典が貰える
各金融機関では、顧客を獲得するために様々な特典を用意しています。
複数の法人口座を保有していれば、それぞれの金融機関でこのような特典を利用できてお得です。
特にネット銀行の場合は多数の特典があるので、特典利用の観点からもネット銀行の法人口座を持っておくことをおすすめします。
【要注意】法人口座を複数所有する2つのデメリット
法人口座の複数開設にはメリットだけでなく以下2つのデメリットも存在します。
口座管理が大変になる
法人口座は保有する数が増えるほど、通帳やキャッシュカード、ログイン用ID・パスワードなどの管理が大変になります。
もちろん複数口座の保有にはメリットもありますが、しっかり計画を立てないと口座数だけが増えていき、1つの口座だけで運用している時よりも手間がかかる可能性もあります。
複数の法人口座を持つ目的を明確にして、必要な数だけ作成するようにしましょう。
月額利用料などの出費が増える
メガバンクや地方銀行では、法人口座を開設するとネットバンキングの月額料金が発生します。
金融機関 | ネットバンキング月額料金(税込) |
---|---|
三井住友銀行(デビュータイプ) | 2,200円 |
三菱UFJ銀行(BizSTATION) | 1,760円 |
みずほ銀行(e-ビジネスサイト・ベーシック) | 5,500円 |
りそな銀行(りそなビジネスダイレクトMini) | 3,300円 |
月額料金は金融機関やプランでも異なりますが、相場は2,000〜3,000円ほどで大きな出費ではありません。
しかし、複数の金融機関で法人口座を開設すれば、その分コストも大きくなります。
その点、ネット銀行ならネットバンキング利用料は原則無料なので、複数の法人口座を開設してもコスト面でのデメリットはありません。
コスト節約を第一に考える企業は、2つ目以降の法人口座はネット銀行がおすすめです。
2つ目の法人口座開設におすすめの銀行3選
2つめの法人口座を作る際は、手数料が安く手続きが簡単なネット銀行が便利です。
数あるネット銀行の中でも、特におすすめの3つを紹介します。
GMOあおぞらネット銀行
口座維持費 | 無料 |
口座開設までの時間 | 最短即日 |
振込手数料(税込) | 同行宛て:無料 他行宛て:最大145円(開設の翌々月までは月20回まで無料かつ設立から12ヶ月間は月20回無料) |
総合振込 | 最大9,999件 |
普通預金金利 | 0.001% |
ビジネスデビットカード | ◯(1.0%還元) |
専用アプリ | ◯ |
GMOあおぞらネット銀行の法人口座は、振込手数料の安さが大きなメリット。
また口座開設申込から開設完了までスピードが平均1.5日と早いの特徴です。
どの法人でも開設の翌々月末までは他行宛て振込手数料が月20回無料で、設立1年以内の法人ならこの特典が最大1年間継続します。
さらに、法人口座では珍しく代表口座1つにつき最大20口座まで追加開設できるのも特徴です。
同じ金融機関で複数口座を使い分けたい企業にとっては便利でしょう。
\口座開設スピード平均1.5日/
GMOあおぞらネット銀行
公式サイトに行く
住信SBIネット銀行
口座維持費 | 無料 |
口座開設までの時間 | 最短翌営業日 |
振込手数料(税込) | 同行宛て:無料 他行宛て:最大145円(開設の翌月までは月10回まで無料) |
総合振込 | 最大9,999件 |
普通預金金利 | 0.001% |
ビジネスデビットカード | ◯(最大1.0%還元) |
専用アプリ | ◯ |
住信SBIネット銀行の法人口座は、振込件数に応じて他行宛て振込手数料が優遇されるのが特徴です。
開設翌月までは他行宛て振込手数料月10回無料の特典があり、その後も最安130円で利用できるので、手数料のコストを下げたい企業に特におすすめ。
また、法人口座専用のアプリで、振込・入出金や明細確認も簡単に行えるので手間もかかりません。
口座開設とともに発行されるデビットカードの利用で、最大1.0%還元されるのも嬉しいポイントです。
\審査が通りやすい/
住信SBIネット銀行
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PayPay銀行
口座維持費 | 無料 |
口座開設までの時間 | 最短3日 |
振込手数料(税込) | 同行宛て:55円 他行宛て:160円(開設の翌々月までは月10回まで無料) |
総合振込 | 最大3,000件 |
普通預金金利 | 0.001% |
ビジネスデビットカード | ◯(還元率は要問い合わせ) |
専用アプリ | ◯ |
PayPay銀行の法人口座は、新規口座開設者向けの特典が充実しているのが魅力です。
口座開設の翌々月末までは振込手数料が月10回無料かつ、デビットカードを3回利用で現金1,000円をプレゼントしてくれます。
新規特典だけでなく、セキュリティの高い専用アプリや最大1,000万円まで借入できるビジネスローンなど多数のサービスを用意。
特にセキュリティについてはトークンによる認証制度を他の銀行に先駆けて採用するなど、万全の対策を取っており安心できます。
\月額利用料が無料!/
PayPay銀行
公式サイトに行く
まとめ
今回は、法人口座を複数作成するメリット・デメリットについて解説してきました。
改めてまとめると、以下の通りです。
事業が拡大するにつれてお金のやり取りが増大するため、管理が大変になります。
目的に応じて複数の法人口座を保有して、会計業務を効率化させましょう。
ネット銀行ならWEB上で簡単に開設手続きが行えるうえ、各種手数料の節約もできるのでおすすめです。