- ファクタリングの契約書で注意すべき点はあるかな?
- 契約書にはどんな事が書かれている?
上記のようにファクタリングの契約書について、詳しく知りたいとお考えではないでしょうか。
ファクタリングを利用する上で、契約書は必ずチェックしておく必要があります。契約書を確認しておかなければ、後々トラブルとなる可能性も十分に考えられるからです。今回は、ファクタリング利用時に注意すべき「契約書」について詳しく紹介していきましょう。
これからファクタリングを利用する場合には、契約書のどんな所をチェックすべきか参考にしてみてください。
1:2種類ある!ファクタリングで必要な2つの契約書
ファクタリングの契約書って、どんなもの?
一般的なファクタリング会社では、契約時に2種類の契約書が必要となります。
- ファクタリング取引契約書
- ファクタリング個別の覚書
ファクタリング会社の考え方として、ファクタリングを一回きりの利用ではなく継続的に利用してもらう事が目的です。
利用者自体も、一回ではなく数回ほど利用する者が多く存在します。そのため契約書は2種類あり、全体的な取り決めが明記されてるファクタリング取引契約書と個々の取引におけるファクタリング個別の覚書を作成するのです。
2回目以降は、ファクタリング取引契約書は必要とせず個別の覚書だけの契約書で取引を締結します。
ファクタリングを利用する際には、主に2種類の契約書が作成されるということを覚えておきましょう。
1-1:簡易テンプレートとダウンロード
ファクタリングの契約書が見てみたい! 実際に使われる契約書を事前にチェックしたい場合のために、債権譲渡契約書を紹介しましょう。
実際に下記テンプレートの様な内容で契約書は作成・使用されます。
債権譲渡契約書
株式会社________(以下「甲」という。)と株式会社________(以下「乙」という。)とは次のとおり,債権譲渡契約(以下「本契約」という。)を締結した。
第1条(債権譲渡)
甲は,乙に対し,本契約に定める条件に従い,本契約締結日に,後記表示の債権(以下「本譲渡債権」という。)を譲り渡し,乙はこれを譲り受けた。記
債 権 者 譲渡人(甲)
債 務 者 株式会社________代表取締役________(丙)
債権内容 平成__年__月__日付___契約に基づく債権金____円
弁 済 期 平成__年__月__日第2条(売買代金)
乙は,甲に対し,本条と債権の対価として,金 円を本契約締結後 日以内に甲の指定する銀行口座に振込んで支払う。第3条(通 知)
甲は,本契約締結後遅滞なく,丙に対し,確定日付ある証書をもって債権譲渡の通知をなし,または丙の承諾を取り付けるものとする。第4条(担保責任等)
1 甲は,本譲渡債権につき,丙から相殺その他甲に対抗し得べき事由,または第三者による差押え等,何らの瑕疵負担のないことを保証する。
2 甲は,第3条の通知の効力発生に至るまでの間,乙の権利行使を妨げる行為をしてはならない。第5条(専属的合意管轄裁判所)
本契約に関する紛争については, 地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 本契約の成立を証するため本契約書を2通作成し,甲乙各記名押印の上,各1通を保有する。平成__年__月__日
甲:住 所
会 社 名
代表取締役 印乙:住 所
会 社 名
代表取締役 印
契約書をダウンロードしたいという場合には、引用元の弁護士法人クレア法律事務所さんで紹介されているテンプレートを活用してみて下さい。
2:契約書はココを見る!10個の注意項目
ファクタリングを利用する際には、必ず契約書に目を通しチェックする必要があります。なぜならファクタリング会社の中には、事前説明と違う内容の条件を契約書に追加したり変更したりする悪質な業者が存在するからです。
優良な業者である確信があっても、あなたが思っている契約内容とは違う可能性があります。必ず契約書を確認し、契約内容に沿った条件で契約書が作成されているか確認するようにしましょう。契約書で必ず確認したい注意項目は10個あります。
- ① 譲渡の対象債権
- ② 債権譲渡通知
- ③ 債権譲渡登記
- ④ 償還請求権
- ⑤ 手数料
- ⑥ 担保・保証人
- ⑦ 報告義務
- ⑧ 損害賠償
- ⑨ 契約解除
- ⑩ 契約期間
上記10個の注意項目について、詳しく紹介していきましょう。
契約書はファクタリング取引において、必ず確認しておくべきポイントです。
トラブルやリスクを回避する 意味でも、手を抜かずしっかり確認しましょう。
悪質な業者について知りたい場合には、下記の記事をご覧ください。
関連記事:ここまでするの!?悪質すぎるファクタリング業者6つの取り立て方法
2-1:譲渡の対象債権
1つ目の注意点は、譲渡の対象となる債権の確認になります。
ファクタリングは債権譲渡契約です。一般的な企業では、売掛債権を複数保有していることが考えられます。契約書に書かれている債権が、どの売掛先の売掛債権なのか確認をしましょう。譲渡の対象となる売掛債権に誤りはないか、合意した内容で明記されているか確認が必要です。
基本的なことですが「資金化したい売掛債権が違った」なんてミスは侵さないよう、契約書にてもう一度確認をしましょう。
2-2:債権譲渡通知
2つ目の注意点は、債権譲渡通知の確認です。
ファクタリング取引において、3社間ファクタリングを選んだ場合は売掛先に債権譲渡の通知が必要です。
利用者側が売掛先へ直接通知するのか、ファクタリング会社が通知するのかは契約内容によって変わってきます。自分に通知の義務があるのか、契約書にて確認するようにしましょう。また、通知が必要であれば期日と方法についてもファクタリング会社にも確認をする必要があります。
「通知してません」と後々トラブルにならない様に、どの様に行う必要があるのか契約書でも再確認が必要です。
2-3:債権譲渡登記
3つ目の注意点は、債権譲渡登記の確認です。
ファクタリング会社によっては、2社間取引の場合に債権譲渡登記が必要となることがあります。
債権譲渡登記を行うと、売掛先や取引金融機関などにファクタリングを利用していることが発覚する可能性があるのです。契約時に債権譲渡登記は必要ないと話されているのであれば、契約書の内容に誤りは無いか確認する必要があります。
また、債権譲渡登記が必要な場合には、登記費用の負担が必要になるのか確認する必要があるでしょう。
関連記事:ファクタリングと債権譲渡2つの違い!登記の理由とオススメ業者3選
2-4:償還請求権
4つ目の注意点は、償還請求権(ノンリコース)なのかの確認です。
ファクタリング会社の多くは、償還請求権が無いノンリコースでの取引を行います。
しかし、ファクタリング会社の中には償還請求権のある会社が存在するのです。償還請求権がある会社を利用すると、売掛先が倒産などの理由で売掛金を支払えない状況に陥った場合に利用者が売掛金を支払う義務が発生します。そうなると、もしもの事態に支払いをしなくてはいけなくなり不利な条件での契約となってしまうのです。
- 償還請求権の無いファクタリング会社かどうか
- 契約書に償還請求権なしと明記されているか
上記のことを確認し、償還請求権なしと明記されていなければ必ず書くよう修正を求めましょう。
2-5:手数料
5つ目の注意点は、手数料についての確認です。
ファクタリング会社や契約内容によって、手数料は変動します。
2社間ファクタリング・3社間ファクタリングなのかにもよって、手数料は変わってくるので契約書に書かれている手数料や内訳は必ず確認するようにしましょう。また、契約前に提示されていた手数料と同じ内容で記載がされているかも確認が必要です。
話と違う場合には、必ず修正を求めましょう。ご自身が納得いく内容で、契約をするということが最も重要です。
関連記事:独断と偏見!?ファクタリング会社が手数料を決める3つの違いと4つの要素
2-6:担保・保証人
6つ目の注意点は、担保・保証人についての確認です。
ファクタリング取引は融資ではないため、担保や保証人を付ける必要は一切ありません。
しかしファクタリング会社によっては、担保や保証人を要求してくる場合があるのです。何の説明もなく不動産や保証人を担保にするよう、契約書に書かれている場合には直ちに利用することをやめましょう。優良なファクタリング会社であれば、一般的な売掛債権譲渡契約において担保や保証人を求められることはありません。借入に値する契約は、貸金業法に抵触してしまうからです。
少しでも悪質な業者である要素が感じられた場合には、利用しない様にしましょう。
関連記事:ファクタリングは融資ではない!12個の違いとメリットを最大化する5社
2-7:報告義務
7つ目の注意点は、報告義務の確認です。
ファクタリング取引において、お金を受け取った後に売掛先の経営状態や財産状況に不穏な動きがあった場合にはファクタリング会社へ報告する義務が発生することがあります。契約書に報告義務があると書いてあるにも関わらず、報告をせず売掛先が倒産等した場合には「損害賠償」を請求される可能性があるのです。必ず契約書を確認し、報告義務が発生するのかを事前に把握しておきましょう。
もしも明記されていない場合には、トラブルにならないようファクタリング会社に確認しておく必要があります。
2-8:損害賠償
8つ目の注意点は、損害賠償や違約金の確認です。
ファクタリング取引は、双方が義務を背負い取引を行います。そのため義務違反をすれば、損害賠償や違約金が発生するケースが多いのです。
どんなことをしたら義務違反なのか、どの位の損害賠償が発生するのか契約書で必ず確認をしましょう。納得がいかない場合や損害賠償が高すぎる場合には、契約前に必ずファクタリング会社へ相談し修正を求める必要があります。
損害賠償や違約金について明記されていない場合には、トラブルを防ぐためにも明記する様に求めましょう。
2-9:契約解除
9つ目の注意点は、契約解除についての確認です。
8つ目の注意点でお伝えしたとおり、義務違反をすれば損害賠償を求められます。同じように、どちらかが義務違反を犯した場合には契約の解除を行うことが可能です。どのような場合に解除が認められるのか、契約解除時の代金返還はどうなるのか確認をしましょう。
明記されていなければ、必ず明記するように修正を求める必要があります。
2-10:契約期間
10つ目の注意点は、契約期間についての確認です。
ファクタリング会社の中には、契約期間を設けている場合があります。契約期間を設けている場合、基本的には契約終了後も自動更新となることが多いです。契約期間についての確認・更新時に費用は発生するのか等を契約書で確認する様にしましょう。
また、自動更新にしたくない場合には契約を終了させる際の手続きについても事前に把握しておく必要があります。
3:契約前に必ずチェックする5つの理由
「契約前に契約書は必ずチェックしてください。」
上記のようにお伝えしてきましたが、チェックが必要な理由は5つあります。
- ① 悪質な業者が存在するため
- ② 不明点を明確にするため
- ③ 修正を要求するため
- ④ 相見積もりをするため
- ⑤ 売掛先への対応を確認するため
「契約書は長くて読むのが面倒~」と思わずに、契約書を確認することで5つのことを改善したり確認したりすることが可能です。
さっそく契約書を確認する5つの理由について、詳しく紹介していきます。
3-1:悪質な業者が存在するため
1つ目の理由は、悪質な業者が存在するためです。
ファクタリング会社の中には、契約前に提示してきた内容と異なる条件で請求書を作成する悪質な業者が存在します。契約書を確認するということは、きちんと提示された内容で契約書が作られているか確認するためにも必要なことです。
悪質な業者を利用し契約書を確認していなければ、後から何を言っても「契約書に書いてあります」と言われ泣き寝入りするしかなくなってしまいます。必ず請求書は確認し、要望に沿った内容で取引ができるのか確認をする必要があるのです。
3-2:不明点を明確にするため
2つ目の理由は、不明点を明確にするためです。
契約書を確認し、不明点があればファクタリング会社へ質問をしましょう。お金の取引になるので、不明点は一切無くす必要があります。
「後から知っても遅かった・・・」ということにならない為にも必ず確認をしましょう。
3-3:修正を要求するため
3つ目の理由は、修正を要求するためです。
契約書を確認すれば、納得いかない箇所の修正を要求することができます。
話と違う点や納得いかない条件が記載されている場合には、修正を頼んでみましょう。
例えば債権譲渡登記ですが、2社間ファクタリングでもファクタリング会社へ相談すれば留保してくれる可能性があります。自分にとって不利益となる条件や直したい箇所があれば積極的に修正要求を行いましょう。
3-4:相見積もりをするため
4つ目の理由は、相見積もりをするためです。
契約書を見て「違う会社の方が良いかな?」と思う事があるでしょう。
売掛債権を譲渡する前であれば、他の会社に見積りを出してもらうことも可能です。
相見積もりをして、複数のファクタリング会社の条件を見比べましょう。
手数料だけでなく、契約条件やサポート体制までファクタリング会社によって内容は異なります。
契約書を確認し、もっとも有利に資金調達できる会社を利用するようにしましょう。
3-5:売掛先への対応を確認するため
5つ目の理由は、売掛先の対応を確認するためです。
3社間ファクタリングであれば、債権譲渡通知は利用者かファクタリング会社が行う必要があります。今後の取引関係に影響を与えないよう、ファクタリング会社が間に入ってサポートしてくれる会社もあれば全く仲介してくれない会社もあるのです。
契約書を確認し、どのように対応してくれるのかを確認する必要があるでしょう。
まとめ
ファクタリングにおける「契約書」について詳しく紹介してきました。
ファクタリングでは主に2種類の契約書を使い、2回目以降は個別の覚書のみで契約書を作成することが可能です。
また、契約書はハンコを押す前に必ず確認する必要があります。
10個の注意項目を必ず確認し、納得のいく条件で資金調達を行うようにしましょう。ぜひ参考にしてみてください。