民法改正で譲渡禁止特約債権の利用が可能になるの?
民法改正されたことにより、今年の4月から債権譲渡禁止特約付きの売掛金でもファクタリングの利用が可能になりました。
そこで今回は、債権譲渡禁止特約が利用可能になることによってファクタリングどんな影響があるのか、2つのポイントを解説していきます。
- 譲渡禁止特約債権の利用が可能
- 将来債権の利用が可能になる
後半では、譲渡禁止特約がある2つの理由と民法改正後の特約に係る注意点を紹介していきましょう。
1:ファクタリングの譲渡禁止特約が無効!民法改正後の2つの影響
「債権譲渡禁止特約とは、債権(売掛金)の譲渡を禁止したものです。これまでは、債権譲渡禁止特約が付与されている売掛金では、ファクタリングを利用することができませんでした。」
引用:民法改正で債権譲渡禁止特約付きの売掛金でもファクタリングが利用可能に|ビートレーディング
今年の4月から民法が改正され、ファクタリングが利用しやすくなりました。
上記による、ファクタリングへの影響は下記の2つです。
- 譲渡禁止特約債権の利用が可能
- 将来債権の利用が可能になる
この章では、上記2つのポイントを踏まえ解説していきましょう。
1-1:譲渡禁止特約債権の利用が可能
1つ目のポイントは、「譲渡禁止特約債権の利用が可能」になったことです。
簡潔に言うと、債権譲渡禁止特約が利用できることで以下の事が可能になります。
- ファクタリングを利用できる機会が増える
これまでは契約書に債権譲渡禁止特約が付いていた場合、基本的にファクタリングを利用することができませんでした。
しかし民法改正後の今、特約付きの売掛金を取扱えなかった多くのファクタリング会社が利用できるようになり、ファクタリングを利用する機会が増えると予想されます。
経済産業省もファクタリングや債権譲渡による資金調達を推進しているので、これから需要が高まること間違いないでしょう。
1-2:将来債権の利用が可能になる
2つ目のポイントは、「将来債権の利用が可能になる」ことです。
将来債権とは、将来発生する債権のことを意味します。
将来発生する債権(将来債権)を他者に譲渡する取引は、主に担保目的で広く行われているのです。
これまでは、将来債権が譲渡可能であることについて民法に明確な規定はなく、グレーな状況下であったと言えます。
しかし、今春から将来債権の利用が可能になることで、以下のことが可能です。
- 債権を買い取ったファクタリング会社が利用会社の売掛先から支払いを受け取れる
改正案446条の6第1項が「将来債権の譲渡性」を明言し、同条2項では譲渡後に発生した将来債権は当然に譲受人が取得することも明らかになりました。
これにより、将来債権ファクタリングは今後増えていくことが予想されるでしょう。
参考URL:将来債権と譲渡制限特約の取扱について|ベストファクター
2:譲渡禁止特約がある2つの理由
売掛債権は、債権者が第三者に譲渡するのは「原則的に」債権者の自由です。
しかし、譲渡禁止特約が付いている債権はこの「原則」から外れることになります。言葉の通り、債権の譲渡が禁止されることになるのです。
ファクタリングが行えなくなる特約付き債権ですが、これには2つの理由があります。
- 債権譲渡によって支払先が変更・煩雑になることを防ぐ
- 反社会勢力とのコンプライアンス上の問題を防ぐ
上記2つの理由を解説していきましょう。
2-1:債権譲渡によって支払先が変更・煩雑になることを防ぐ
1つ目の理由は、「債権譲渡によって支払先が変更・煩雑になることを防ぐ」ためです。
そもそも債権譲渡禁止特約を付与するようになったのは、債権者側の事情があります。
債権者はできるだけ面倒ごとを回避したいので、大手企業は事務の煩雑化を避けるために特約をつける傾向にあるのです。
2-2:反社会勢力とのコンプライアンス上の問題を防ぐ
2つ目の理由は、「反社会勢力とのコンプライアンス上の問題を防ぐ」ためです。
中にはファクタリング業者を装った、ヤミ金が存在します。
債権者は、面倒ごとに加えてリスクも回避したいのです。
実例として、ある企業が反社会勢力に売掛金を売却し倒産、反社会勢力が売掛金の取り立てに押し寄せたケースがあります。
3:民法改正後の特約に係る2つの注意点
上記のように民法改正後の今、リスクや注意点が知りたいとお考えですか?
民法改正後の、譲渡禁止特約についての新しい注意点は特にありません。
しかし、改正後でも引き続き注意しなければならないことが2つあります。
- ヤミ金業者に注意
- 2社間ファクタリングに注意
さっそく上記の注意点を説明していきましょう。
3-1:ヤミ金業者に注意
ファクタリング会社を選ぶ際は、ヤミ金業者に注意しましょう。
民法が改正された今でも、ファクタリングを取り締まる規制はありません。
そのため、ファクタリング業者を装ったヤミ金が存在し悪質な取引を強いられる可能性があるのです。
契約条件がはっきりしておらず極端に甘いケースや、契約後に手数料を上乗せされるケースが考えられます。
安全な資金調達のために、ファクタリング会社を見極める5つのポイントを紹介しましょう。
- 会社概要が明確化否か
- 契約書がない
- 審査がない
- 条件が極端に甘い
- 現金でのやり取りを要求してくる
ファクタリングを用いて資金調達をする際は、ファクタリング会社に問い合わせ事前の情報収拾を必ずしましょう。
関連記事:【ファクタリング】4つの条件と悪質会社を見極める5つのポイント
3-2:2社間ファクタリングに注意
資金調達にファクタリングを利用するのであれば、3社間ファクタリングの利用がおすすめです。
3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングよりも手数料を20%以上抑えることができます。
そもそも2社間取引とは、3社間取引ができない場合に利用する取引方法です。
2社間ファクタリングを使う際は、あくまで「奥の手」として利用することをおすすめします。
関連記事:ファクタリング6つのデメリット!手数料が低い注目のオススメ業者5選
まとめ
民法改正による2つの影響と譲渡禁止特約がある2つの理由、民法改正後の特約に係る注意点を紹介してきました。
民法が改正されたことによって、譲渡禁止特約債権の利用が可能になりよりファクタリングの需要が高まることでしょう。
しかし、ファクタリング会社を選ぶ際はヤミ金等の悪質業者と取引しないよう最新の注意を払う必要があります。