助成金が高齢者を雇うだけで貰える!3つの種類と各コース概要

助成金・補助金

高齢者を雇用すると助成金がもらえるって本当?

本当です。日本では近年、少子高齢化に伴い人手不足と言われています。

そんな中、高齢者を雇用することは企業の課題ともなっているのです。
また、高齢者にとっても定年後の再就職は厳しい環境にあります。

そこで国は、高齢者を新たに雇用したり・環境を整えたりした企業に対して助成金を受給しているのです。
実施する内容により、高齢者の雇用に対する助成金は様々な種類があります。

今回は、高齢者を雇う事でもらえる助成金について詳しく解説していきましょう。

1:高齢者を雇うと貰える助成金3つの種類

高齢者を雇うことで、貰える助成金は大きく分けて3種類あります。
雇用する状況別に紹介していきましょう。

  • 高齢者を雇う場合
  • 高齢者の労働環境を整える場合
  • 高齢者が起業する場合

企業が労働者を「雇用」する際にはもちろんのこと、労働環境を整えたり、高齢者が自ら起業する際にも受給できる助成金があります。
状況ごとに合わせた助成金の種類は、様々なコースで分かれているので詳しく解説していきましょう。
自身の状況に合った助成金の種類を見つけて下さい。

2:【高齢者を雇う場合】特定求職者雇用開発助成金2つのコース

高齢者を新たに雇用する場合に、該当する助成金は特定求職者雇用開発助成金です。

特定求職者雇用開発助成金には2つのコースがあります。

  • (1)特定就職困難者コース
  • (2)生涯現役コース(65歳以上)

詳しく解説していきましょう。

2-1:特定就職困難コース

特定就職困難コースは、60歳以上の高齢者を雇用し雇用保険一般被保険者として2年以上継続して雇用する事を条件とした助成金です。

  • 募集要件
  • 助成額

上記2つについて、それぞれ紹介していきましょう。

2-1-1:募集要件

特定就職困難コースの募集要件は全て満たすことが条件です。

【受給要件】

  • ① ハローワークもしくは、民間の職業紹介事業者等(※1)の紹介により雇用すること。
  • ② 雇用保険の一般被保険者として雇用し、継続して雇用することが確実(※2)であること。

(※1)公共職業安定所・地方運輸局・適切な運用可能な有料・無料職業紹介事業者など
(※2)対象の労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用、当該雇用期間が継続2年以上

参照元:特定就職困難コース

2-1-2:助成額

助成される金額は、対象の労働者のタイプ企業規模に応じて1人あたりの支給額が変わります。以下の表をご覧ください。

特定求職者雇用開発助成金

  • 「重度障害者など」・・・重度の身体知的障害者、45歳以上の身体知的障害者および精神障害者のこと
  • 「短時間労働者」・・・一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であること
  • ( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間

2-2:生涯現役コース

生涯現役コースは、65歳以上の高年齢者を雇用する際に助成される助成金です。

雇用日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワークや民間の職業紹介事業者などからの紹介により継続して1年以上(雇用保険の高年齢被保険者として)雇用することが確実である企業に対して助成されます。

  • 受給要件
  • 助成額

上記2つについて紹介していきましょう。

2-2-1:受給要件

生涯現役コースの募集要件は、特定就職困難コースと同じで全て条件を満たす必要があります。

【受給要件】

  • ① ハローワークもしくは、民間の職業紹介事業者等(※1)の紹介により雇用すること。
  • ② 雇用保険の高年齢被保険者として雇用し、1年以上雇用することが確実(※2)であること。

(※1)公共職業安定所・地方運輸局・適切な運用可能な有料・無料職業紹介事業者など
(※2)対象の労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用、当該雇用期間が継続2年以上

2-2-2:助成額

支給される助成額は、対象労働者のタイプ企業規模に応じて1人あたりの支給額が決定されます。以下の表をご覧ください。

生涯現役コース
( )内は中小企業事業主以外に対する支給額

短時間労働者・・・一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満であること

3:【高齢者の労働環境を整える場合】65歳超雇用推進助成金3つのコース

「高齢者の労働環境を整える場合」に該当する助成金は65歳超雇用推進助成金です。

この助成金は、高年齢者が「働きたい」という意欲と能力のある限り年齢に関係なく働くことが出来るように事業主が雇用環境を整えた場合に支給されます。

高齢者にとって、定年後の再就職は死活問題です。
再就職することは非常に難しく、狭き門とも言われています。

65歳超雇用推進助成金には3つのコースがあります。

  • (1)65歳超継続雇用促進コース
  • (2)高年齢者評価制度雇用管理改善コース
  • (3)高年齢者無期雇用転換コース

上記3つのコースについて詳しく紹介していきましょう。

3-1:65歳超継続雇用促進コース

65歳超継続雇用促進コースは、既に高齢者を雇用している会社で定年引上げや、長く雇用し続けれるように就業規則を改定した企業に受給されるのです。ただし1事業主につき1度きりしか支給されません。

  • 受給要件
  • 受給額
  • 受給手続きの流れ

上記3つについて詳しく紹介していきましょう。

3-1-1:受給要件

65歳超継続雇用促進コースの受給要件について紹介します。
条件は全部で6つです。

  • (1)労働協約もしくは就業規則によりa~bのいずれかに該当すること
            a.65歳以上への定年引上げ
       b.定年の定めを廃止
       c.希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入
  • (2)(1)の制度を規定した際に経費がかかったこと
  • (3)(1)の制度を規定した労働協約または就業規則を整備したこと
  • (4)高年齢雇用推進員の選任・高年齢者雇用管理に関する措置を実施している事業主であること
  • (5)(1)の制度実施日から計算し、1年前の日から支給申請日までに高年齢者雇用安定法第8条
    または第9条第1項の規定に違反していないこと
  • (6)支給申請日前日において、1年以上継続して雇用している60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること

上記6つの受給要件をクリアしていることが条件になります。
また、受給は1事業主あたり1回限りです。
必ず事前にチェックしておきましょう。

3-1-2:受給額

65歳超継続雇用促進コースの受給額は、労働協約または就業規則により実施した内容・定年等の年齢の引き上げ幅・60歳以上の雇用保険被保険者数により金額が変動します。以下の表をご覧ください。

65歳超継続雇用促進コース

A:65歳以上へ定年の引き上げ措置を実行した場合
B:定年の定めを廃止した場合

65歳超継続雇用促進コース

C:希望者全員を対象とした66歳以上の継続雇用制度を導入した場合

どの様な措置を実施したのか、内容によって受給される金額は異なります。事前にチェックしておきましょう。

3-1-3:受給手続きの流れ

受給手続きの流れを、簡単に紹介しておきます。
受給手続きは、措置実施後2か月以内の申請が必要です。

  • 1、支給申請を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構へ行う
  • 2、申請内容が確認される
  • 3、支給の決定

助成金の申請は(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構へ行う必要があります。
65歳超継続雇用促進コースの申請書をダウンロードする場合は、以下をご覧ください。

申請書PDFをダウンロードする

3-2:高年齢評価制度雇用管理改善コース

高年齢評価制度雇用管理改善コースは、働いている高年齢者の労働環境の整備改善にかかった費用の一部が助成される制度です。

主に対象とされる経費は以下5つの様な、導入や改善を行った場合になります。

  • 機械設備の導入
  • 作業方法、作業環境の導入・改善
  • 賃金の昇給
  • 短時間勤務制度の導入・改善
  • 法定外の健康管理制度の導入

高齢者が働く環境を整備する事で、経費の一部が助成されます。
そんな高年齢評価制度雇用管理改善コースの以下3つについて、詳しく紹介していきましょう。

  • 受給要件
  • 受給額
  • 受給手続きの流れ

3-2-1:受給要件

高年齢評価制度の受給要件は5あります。

高齢者の雇用管理制度(労働環境など)の整備等に係る措置を、労働協約または就業規則に定めて以下5つの事を実施することが必要です。

  • ① 雇用管理整備計画の認定
    高齢者のために実施する雇用管理制度の整備のため取り組む「雇用管理整備計画」を作成し(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長へ提出・認定を受けること
  • ② 高年齢者雇用管理整備の措置実施
    ①の雇用管理整備計画に基づいて、同計画実施期間内に措置を実施すること
  • ③ 雇用管理整備計画書提出日から1年前の日、支給申請日前日までの間に高年齢者雇用安定法第8条・9条第1項の規定と異なる定めをしていないこと
  • ④ 支給申請日の前日までに1年以上継続雇用している60歳以上の雇用被保険者がおり、高年齢者雇用管理整備の措置による計画終了の翌日から6か月以上継続して雇用されているものが1人以上いること
  • ⑤ 雇用管理整備の措置実施に使った支給対象経費を支給申請日までに支払うこと

上記5つのことが、助成金を受給する条件となります。

3-2-2:受給額

受給される金額は、生産性要件を満たした場合と満たさなかった場合で15%も変わります。以下の表をご覧ください。

高年齢者評価制度雇用管理改善コース
上記の%(パーセンテージ)は、雇用管理整備計画の実施期間中、雇用管理制度見直しのためにかかった支給対象経費(人件費以外)に%(パーセンテージ)を乗じて得た額が支給されます。

生産性要件については、下記をご覧ください。

生産性要件について確認する

3-2-3:受給手続きの流れ

受給手続きについて、簡単に紹介します。

高年齢者評価制度雇用管理改善コースの受給手続きは、計画開始の3か月前の日までに申請する様にしましょう。

  • 1、計画の申請を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長へ提出
  • 2、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構から計画認定が届く
  • 3、助成金の申請を行う
  • 4、支給決定

助成金の申請は、計画期間終了日の翌日から6か月後の翌日~2か月以内に行う必要があります。
計画申請時の提出書類については、以下からご覧ください。

計画申請時の提出書類を確認する

3-3:高年齢者無期雇用転換コース

高年齢者無期雇用転換コースとは、定年していない労働者に対し定年後も無期限で働くことが出来るように転換を実施した場合に受給出来ます。

  • 受給要件
  • 受給額
  • 受給手続きの流れ

上記3つについて詳しく紹介していきましょう。

3-3-1:受給要件

高年齢者無期雇用転換コースを受給するためには、下記2つの要件により50歳以上で定年年齢未満の無期雇用労働者への転換を実施した場合に受給することが出来ます。

  • ① 無期雇用転換計画の認定を受ける
    「無期雇用転換計画」を作成し(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構へ認定を受ける
  • ② 無期雇用転換措置を実施
     ①の無期雇用転換計画に基づいて、当該計画実施期間中に、高年齢者の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること

上記2つの要件が助成金を受給する条件となります。
必ずチェックしておきましょう。

3-3-2:受給額

高年齢者無期雇用転換コースの助成される金額について紹介します。
まずは下記の表をご覧ください。

高年齢者無期雇用転換コース

  • ( )内は生産性要件を満たしている場合の助成額です。

無期雇用転換計画の期間内に、無期雇用労働者に転換した対象労働者1人につき48万円が支給されます。
(中小企業以外の事業主には38万円が支給される)

「え、そんなに貰えるの?」とお考えでしょうが、支給申請年度における対象労働者の合計人数は、転換日を基準として10人までとなっているので注意しましょう。

生産性要件について詳しく見る

3-3-3:受給手続きの流れ

高年齢者無期雇用転換コースの受給手続きについて紹介します。

受給手続きは、無期雇用転換計画を開始する2か月前の日までに申請しましょう。

  • 1、計画の申請を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構へ提出
  • 2、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構から計画認定が届く
  • 3、助成金の申請を行う
  • 4、支給決定

助成金の申請は、無期雇用転換対象者に対して、転換後賃金を6か月分支給した日の翌日から計算した2か月以内に行う必要があります。

4:【高齢者が起業する場合】生涯現役起業支援助成金2つの助成分

高齢者だけど起業したい!また、同世代(高齢者)の従業員を雇用したい!

上記の様にお考えであれば生涯現役起業支援助成金が貰える可能性があります。

生涯現役起業支援助成金は、40歳以上の中高年が自ら起業し、中高年齢者の従業員を雇い入れる際に必要となった経費の一部を助成してもらえる制度です。

また生涯現役起業支援助成金では、助成金の受給後に生産性が向上している場合は別途で「生産性向上助成分」という助成金が支給出来ます。

  • (1)雇用創出措置助成分
  • (2)生産性向上助成分

上記2つの受給要件・受給額について詳しく紹介していきましょう。

4-1:雇用創出措置助成分

雇用創出措置助成分は、40歳以上の方が自ら起業し従業員を雇用する際にかかった経費の一部が助成される制度です。

  • 受給要件
  • 受給額

上記2つについて詳しく紹介していきます。

4-1-1:受給要件

受給要件について紹介していきましょう。
助成金を受給するには5つの条件があります。

  • ① 起業日から11か月以内に計画書を提出し認定(※1)を受ける
  • ② 事業継続性の確認として、以下4つのうち2つ以上該当すること
    a.起業者が国・地方団体・金融機関等が直接または第三者に委託して行う創業に関するセミナー等の支援を受けてること
    b.起業者自身が当該事業分野において10年以上の職務経験があること
    c.起業にあたり金融機関から融資を受けていること
    d.法人もしくは個人事業主の総資産額が1,500万円以上、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること
  • ③ 12か月の計画期間内に労働者を一定数(※2)以上新たに雇うこと
  • ④ 支給申請書提出日において、計画期間内に雇用した対象労働者の過半数が離脱していないこと
  • ⑤ 起業日から計算し支給申請日までの間における離職者数が、計画期間内に雇用した労働者数を超えていないこと

(※1)「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受ける
(※2)一定数とは・・・60歳以上が1名以上、40歳以上60歳未満が2名以上または40歳未満の者が3名以上を示す

4-1-2:受給額

雇用創出措置助成分の受給額を紹介します。
受給額は、起業した際の年齢区分に応じて、計画期間内に発生した雇用創出措置にかかった費用の合計に下記表の助成率を乗じた金額が受給可能です。

雇用創出措置助成分

4-2:生産性向上助成分

生産性向上助成分について、詳しく紹介していきます。

生産性向上助成分とは、生涯現役起業支援助成金の雇用創出措置助成分の助成金支給後に一定期間経過した後生産性が向上している場合に支給される助成金です。詳しい受給要件・受給額について解説していきましょう。

4-2-1:受給要件

生産性向上助成分を受給するためには、3つの受給要件があります。

  • ① 支給申請書提出に基づく「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」における事業が継続してること
  • ② 雇用創出措置助成分の支給申請日の翌日から、生産性向上助成分の支給申請日までに雇用する雇用保険被保険者を事業主の都合で解雇していないこと
  • ③ 「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出した日の属する会計年度と3年後の生産性を比較し、伸び率が6%以上あること

4-2-2:受給額

生産性向上助成分の受給額について紹介します。

生産性向上助成分で受給できる金額は、雇用創出措置助成分により支給された助成額の¼です。¼の金額が別途支給されます。

まとめ

高齢者を雇用することで、もらえる助成金について詳しく紹介してきました。

少子高齢化である今、高齢者を雇用することは企業にとって大きな課題の1つです。

高齢者を雇うことに不安の声もあるでしょう。
しかし高齢者を雇用する事で、企業は様々な助成金を取得することが可能です。
また高齢者にとっても定年後の再就職がしやすくなる、糸口となる事でしょう。

事業主の方は、高齢者雇用を一度検討してみてはいかがでしょうか。

ぜひ参考にしてみてください。

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