新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、新型コロナウイルス)による影響で、日本でもついに緊急事態宣言が発動されるとのことです。
このような状況で事業主がまず不安になるのが、事業縮小や従業員の休業手当についてでしょう。
クラスター発生の危険性が高い、ナイトクラブやバー・百貨店などは休業もやむを得ない状況です。日本では、このような状況に使える助成金や支援金を発表しています。今回は、緊急事態宣言に備えて、休業時に活用できる3つの手当について紹介していきましょう。
ご自身の会社存続も勿論大事ですが、従業員の命・健康を守る役割を果たすべきです。
国からもらえる手当を把握し、この緊急事態に適正な判断をしていきましょう。
参考:きょう夕方「緊急事態宣言」へ安倍首相|NHK NEWS
参考:百貨店、大学も休業要請 スーパーや交通機関は営業-都の緊急事態対応|JIJI.COM
1:新型コロナウイルスで使える休業手当3選
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ついに日本でも緊急事態宣言が発動されます。
「やむを得ず休業しなければいけない、テレワーク勤務へ働き方を変えなければならない」
上記のように、従業員への対応に頭を抱えているのではありませんか?
この非常事態で企業が休業時に利用できる手当は、3つあるのです。
- 雇用調整助成金の特例措置
- 臨時休校における保護者の休暇取得支援
- 働き方改革推進支援助成金 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
上記3つの休業時に利用できる手当について、詳しく紹介していきます。
1-1:雇用調整助成金の特例措置
1つ目の手当は「雇用調整助成金の特例措置」です。
通常の助成金とは違い、特例措置として条件等が緩和されています。事業実施後でも計画届の事後提出が認められているため、今からでも十分助成金を受け取ることが可能です。そんな雇用調整助成金の特例措置の主な条件を紹介します。
対象期間 | 令和2年4月1日~令和2年6月30日まで |
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全業種の事業主 |
生産指標要件 | 1ヵ月5%以上低下 |
対象保険者 | 雇用保険被保険者も助成金の対象 |
助成率 | 中小4/5、大企業2/3(解雇等をしない場合:中小9/10、大企業3/4) |
事後提出 | 可能(令和2年1月24日~令和2年6月30日まで) |
クーリング期間 | なし |
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主であれば、雇用保険被保険者も助成金の対象です。
ぜひこの機会に、休業手当等の負担を少しでも減らす準備をしておきましょう。
参考:雇用調整助成金の特例措置|厚生労働省
1-2:臨時休校における保護者の休暇取得支援
2つ目の手当は「臨時休校における保護者の休暇取得支援」です。
休暇取得支援は、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等に通う子どもの保護者が、法定の年次有給休暇以外で有給休暇を取得させた企業に対し、休暇中の賃金(1日8,330円上限)を助成する制度です。
急に小学校等が休業になり、仕事があるのに子どもの世話をどうしようと、お悩みなっている保護者も多くいます。
そんな状況に陥った際、企業が有給休暇取得を推進することで、国から賃金を助成してもらうことが可能です。
詳しい要件等は以下の表をご覧ください。
対象期間 | 令和2年2月27日~令和2年3月31日まで※ |
対象者 | 臨時休業した小学校・特別支援学校・幼稚園・保育所・認定こども園などに通う子どもの保護者が、子どもの世話をするために2/27~3/31の間に有給休暇を取得させた会社 |
助成率 | 有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10※ |
※令和2年4月1日から6月30日までの期間に延長予定
※各対象労働者の通常賃金を日額換算したもの(8,330円を超える場合は8,330円)
1-3:働き方改革推進支援助成金 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
3つ目の手当は「働き方改革推進支援助成金 新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース※」です。
新型コロナウイルス感染拡大防止策として、テレワークを新規導入する中小企業が対象となります。テレワークの導入を躊躇している場合には、ぜひ感染拡大防止策として新規導入を検討してみて下さい。
主な要件は以下の表をご覧ください。
対象期間 | 令和2年2月17日~令和2年5月31日まで |
対象者 | 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規導入する中小企業※ |
助成対象の取組 | ・テレワーク用通信機器の導入・運用※ ・労使協定等の作成・変更等 |
補助率 | 1/2、1企業あたり上限100万円 |
※試行的にテレワークを導入している事業主も対象
※PCやタブレット・スマートフォンは対象外
※令和2年度、時間外労働等改善助成金から名称変更
参考:働き方改革推進支援助成金|厚生労働省
2:休業時に注意すべき4つのポイント
従業員に休業を伝える予定だが、何か注意すべき点はあるか?
休業時に注意すべきポイントは4つあります。休業手当が必要な場合、発熱等を訴える従業員に対しての対応方法などは、慎重に行うべきです。休業時に注意すべき4つのポイントを紹介します。
- ①休業手当が必要な場合
- ②コロナウイルス感染者への対応
- ③コロナウイルス感染の疑いがある者への対応
- ④発熱がある者への対応
上記4つのポイントについて、それぞれ紹介していきましょう。
従業員へ休業してくださいと伝える前に、チェックしてください。
2-1:休業手当が必要な場合
一般的に休業手当が必要な場合は、労働基準法に基づいて平均賃金の100分の60までを支払うことが義務付けられています。
しかし今回の新型コロナウイルス感染拡大による影響で、不可抗力による休業の場合には「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、事業主が休業手当を支払う義務は発生しないのです。
ただし下記2つの不可抗力に該当せず、最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、使用者に責任があると判断されるため、休業手当の支払いが必要となります。
- 休業の原因が事業外部より発生した事故である
- 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けられない事故である
2-2:コロナウイルス感染者への対応
「従業員がコロナウイルスに感染したら、どう対応すればよい?」
もしも授業員が新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合、事業主に「使用者の責に帰すべき事由」に該当しません。そのため休業手当を支払う義務は発生しないことを覚えておきましょう。
2-3:コロナウイルス感染の疑いがある者への対応
「新型コロナウイルスかもしれない」
上記のように、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合には、無理やり休業を強いることはできません。
「帰国者・接触者相談センター」にて相談し、その結果を踏まえても勤務の継続が可能な場合に、事業主が自己判断で休業させた場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、休業手当を支払う必要があるのです。
まずは、最寄りも保健所等に設置されている「帰国者・接触者相談センター」に相談し、下記の症状が無いか確認しましょう。
- 風の症状または37.5度以上の発熱が4日以上続く
- 強いだるけや息苦しさがある
参考:熱や咳があります。どうしたらよいでしょうか?|厚生労働省
2-4:発熱がある者への対応
新型コロナウイルスか不明な段階の「発熱」がある従業員への対応はどうすべきなのだろう?
新型コロナウイルスかは分からない状況での自主的休業は、通常の病欠と同様に扱いましょう。事業主の自己的判断で休業をさせる場合には、休業手当を支払う必要があります。
3:今から出来る企業のコロナ対策7選
会社としてできる、新型コロナウイルス感染拡大防止策は無いだろうか。
新型コロナウイルス感染拡大によって、企業における非常事態への対応能力の違いが日本の企業の中でも大きくなってきています。この非常事態でどのように対処すべきかで、従業員から支持されるかも変わってくるでしょう。
今回は、今から出来る7つの対策を紹介します。
- テレワーク(在宅勤務)の推奨
- テレワーク環境導入や整備
- 時差出勤の実施
- 特別有給休暇の付与
- 期間限定の特別人事制度の導入
- 従業員用の相談窓口の設置
- マスク着用・アルコール消毒の義務付け
上記7つの対策は、今日からでもすぐに始められる対策ばかりです。
この状況で無理に出社をさせずとも、テレワーク等でカバーができることもあるでしょう。
従業員の命・健康を守ることも、経営者として大切な責務です。「まだ大丈夫」と楽観視せずに、緊急事態宣言という状況にきちんと対応していきましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で休業等がやむを得ない場合に利用できる、休業手当等について紹介してきました。
非常事態宣言が発動される今、企業が利用できる助成金や支援制度は続々と出てきています。
上手に活用し、会社も従業員も悪影響を少なくできるように対策をしていきましょう。
ぜひ参考にしてみてください。