日本政策金融公庫の「新創業融資制度」ってどんな融資制度なの?
起業したての経営者もしくは今後起業をする方は、資金の調達方法を考えますよね。
資金を調達する方法としては、銀行や消費者金融・ベンチャーキャピタルなど様々な方法があります。しかし起業したばかりの状況では、実績や担保の面から融資をしてもらえる企業はそう多くないはずです。むしろ起業時に上記のような方法で資金を調達するのは難しいでしょう。
そんな時に利用したいのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。
今回は、新たに事業を始める方を対象としている新創業融資制度について詳しく紹介していきます。
起業時の資金にお困りの場合には、ぜひ参考にしてみてください。
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1:新創業融資制度がマルっと解説!5つの概要
日本政策金融公庫の新創業融資制度って、どんな制度?
新創業融資制度とは新たに事業を始める、もしくは事業を始めて間もない事業者が利用できる融資制度になります。
事業開始後に必要となる設備資金や運転資金に利用することが可能です。
経営者にとって利用しやすい制度で、無担保・無保証で利用することが出来ます。
そんな新創業融資制度5つの概要について、細かく解説していきましょう。
- ① 融資限度額
- ② 要件
- ③ 利率
- ④ 担保・保証
- ⑤ 返済期間
これから事業を始めようと考えている場合には、ぜひ細かくチェックしておきましょう。
1-1:融資限度額
新創業融資制度の融資限度額について紹介します。
融資限度額は3,000万円(うち運転資金1,500万円)です。
1-2:要件
新創業融資制度の要件について紹介していきます。
新創業融資制度は、単体で利用するものではなく日本政策金融公庫の他融資制度と組み合わせて利用する制度です。
新創業融資制度を利用するためには、以下3つの要件をすべて満たす必要があります。
- (1)創業の要件
- (2)雇用創出等の要件
- (3)自己資金の要件
上記3つの要件について詳しく紹介していきましょう。
1-2-1:創業の要件
創業の要件は「新たに事業を始める方」または「事業開始後税務申告を2期終えていない方」が対象です。
これら以外の場合には利用することが出来ませんので注意しましょう。
1-2-2:雇用創出等の要件
雇用創出等の要件について紹介します。
下記いずれかの要件に該当することが必要です。
- 雇用の創出等を伴う事業を始める方
- 現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める方
- 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
(事業実施中の場合には、事業開始時に一定の要件に該当する必要がある)
上記4つの要件、いずれかに該当しているかどうか必ず確認をしましょう。
1-2-3:自己資金の要件
自己資金の要件について紹介します。
自己資金要件は、新たに事業を始める、または事業開始後税務申告を1期終えていない場合、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。
ただし現在勤めている会社と同じ業種の事業を始める場合、産業競争力強化法に定める特定往行支援等事業を受けて事業を始める場合には本要件を満たすものとされます。
1-3:利率
新創業融資制度の利率は2.51%~2.70%です。(2019/8/26 執筆時時点)
利率は個別の事情によって変動します。さらに新創業融資制度は、無担保・無保証の融資制度のため他制度よりも金利が高い特徴があります。
1-4:担保・保証
新創業融資制度は、担保や保証が原則必要ありません。
担保・保証は必要ありませんが、法人が希望する場合には代表者が連帯保証人とすることも可能です。その場合利率が0.1%低減されます。
1-5:返済期間
返済期間は、他の利用する融資制度により異なります。
新規開業資金と合わせて、新規創業融資を利用した場合の返済期間は以下の通りです。
- 設備資金20年以内(うち据え置き期間2年間以内)
- 運転資金7年以内(うち据え置き期間2年間以内)
合わせて利用する他の融資制度により返済期間は異なります。
必ず他の融資制度の返済期間を公式サイトにてご確認ください。
2:新創業融資制度を利用するメリット!制度融資と3つの比較
新創業融資制度を利用するメリットは?
融資制度には主に2つの種類があります。
日本政策金融公庫の新創業融資制度と、信用保証協会を利用した市区町村の制度融資です。
市区町村の制度融資の方が良い!と意見する人もいますが、実際にはどちらを利用した方が有利なのか気になりますよね。
トータル的なメリットからお伝えすると「新創業融資制度」の方がオススメです。
どの様な点で新創業融資制度の方が勝っているのか、3つのメリットで比較をしてみましょう。
- ① 融資実行までのスピード
- ② 借入額
- ③ 担保・保証
上記3つのメリットについて、市区町村の制度融資と比較しながら解説していきます。
2-1:融資実行までのスピード
新創業融資制度の融資実行までのスピードは1ヶ月程です。
市区町村の制度融資は、融資実行までのスピードが遅く2か月ほど遅れる可能性があります。
いち早く資金を調達したい経営者にとって、融資スピードの遅れは足手まといとなる可能性が十分に考えられるでしょう。
スピ―ドの速さから言っても1ヶ月程で完了する新創業融資制度がオススメと言えます。
2-2:借入額
借入額の違いでも日本政策金融公庫の新創業融資制度の方が有利だと言えます。
市区町村の制度融資には、利子補給や信用保証料などの補助があるのです。
しかし市区町村の制度融資は、各自治体で資金量が限られており借入出来る金額が少なくなる傾向があります。
長い時間待った上で、推定していた借入額よりも少ない額になってしまうのは大きなデメリットと言えるでしょう。
資金を十分に確保できず、事業計画通りに利益を得られない状況に陥ってしまう可能性が考えられます。
2-3:担保・保証
担保・保証の面でも新創業融資制度は有利と言えます。
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、原則として担保や保証人を用意する必要が無いです。
もしも事業に失敗して倒産する事態に陥ったとしても、経営者個人は返済責任を負う必要がありません。
地方自治体の制度融資の場合、経営者個人が連帯保証人となる必要があり返済の責任があるのです。
創業したての経営者にとって、担保・保証が必要ない点は大きなメリットと言えます。
3:新創業融資制度6つの必要書類と流れ
新創業融資制度へ申し込みたい!
上記の様に思い立っても何を準備すれば良いのか分かりませんよね。
まずは6つの必要書類を準備しましょう。
6つの必要書類と主な流れについて紹介します。
- ① 借入申込書
- ② 創業計画書
- ③ 設備資金の場合は見積書
- ④ 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人)
- ⑤ 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(担保希望時)
- ⑥ 都道府県知事の推せん書(※1)
※1・・・生活衛生関係事業を営む場合にのみ必要(借入申し込み金額500万円以下の場合は不要)または生活衛生同業組合の復興事業に係る資金証明書が必要です。上記の書類を準備し、ホームページもしくは窓口へ提出を行います。
その後の流れについて詳しく紹介していきましょう。
3-1:お申し込みの流れ
必要書類提出後の流れは以下の通りです。
- ① 面談
- ② 融資
- ③ 返済
上記3つの順にすべての流れが完了します。
3つの流れについて詳しく紹介しましょう。
① 面談
面談は日本政策金融公庫にて、事業計画等について聞かれます。
事業計画についての資料や資産・負債の分かる書類も準備し持参しましょう。
さらに店舗や工場などの現場を担当者が見て、融資の判断を行います。
② 融資
融資が決定すると借用証書など契約に必要となる書類が契約センターから届きます。
手続き完了後、融資金が希望の銀行口座へ送金されるのです。
③ 返済
融資後は、返済が必要です。
日本政策金融公庫の返済は原則、分割払いです。
元金均等返済・元利均等返済・ステップ返済などから返済方法を選択し返済していきましょう。
以上が新創業融資制度の申込の流れです。
この他にも必要な書類などが、個人によって変化する可能性が考えられます。
申し込み時には最寄りの窓口にて、事前に確認をしておきましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」について詳しく解説してきました。
新創業融資制度は、これから新たに事業を開始する予定の者もしくは創業間もない者が利用する事の出来る融資制度です。
市区町村が運営する制度融資よりも、融資額が大きくスピードが速いというメリットがあります。
さらに新創業融資制度は無担保・無保証で利用することができ、創業間もない経営者にとっては大きな利点となるでしょう。
創業時の資金についてお悩みであれば、日本政策金融公庫の新創業融資制度を検討してみてください。