日本政策金融公庫って聞いたことがあるけれど、どんな金融機関?
上記のように日本政策金融公庫について、知りたいとお考えではありませんか。
日本政策金融公庫は、創業間もない中小企業や個人事業主もしくはこれから起業するという方にとって力強い味方となってくれる融資専門の金融機関です。実績や運営歴の短い企業や個人事業主が、民間の金融機関からお金を借りるのは非常に難しくなっています。
そんな時、日本政策金融公庫を利用すれば力強い味方となってくれるでしょう。
今回は日本政策金融公庫について、どんな金融機関なのか詳しく紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
1:日本政策金融公庫とは?最大の味方である理由
日本政策金融公庫ってどんな金融機関?
日本政策金融公庫とは、国が100%出資してつくられた組織です。
日本では、運営実績の少ない中小企業や個人事業主が銀行などの民間の金融機関から融資を受けることが難しくなっています。日本政策金融公庫では、運営実績の少ない中小企業や個人事業主でも、経済の発展や地域活性化を目的として融資を積極的に行っている金融機関なのです。
そんな日本政策金融公庫では、中小企業・個人事業主が創業時に使える融資制度を多数揃えています。創業時の資金調達において、日本政策金融公庫は最大の味方となりサポートを行っているのです。日本政策金融公庫の業務内容から、創業時に強い味方となる理由を解説していきます。
1-1:4つの業務内容
日本政策金融公庫には4つの業務内容があります。
- 国民生活事業
- 中小企業事業
- 農林水産事業
- 危機対応等円滑業務
上記4つの中でも、注目したいのは「国民生活事業」と「中小企業事業」です。2つの業務には、中小企業・個人事業主などの運営実績が少ない者・これから創業する者に対して積極的に融資し支援するという内容が記載されています。
【国民生活事業】
国民生活事業は、地域の身近な金融機関として、小規模事業者や創業企業の皆さまへの事業資金融資のほか、お子さまの入学資金などを必要とする皆さまへの教育資金融資などを行っています。引用:政策金融機関の業務の概要|日本政策金融公庫
国民生活事業の目的では、小企業事業者や創業する者に対して事業融資を行うという内容になっています。
また、事業内容では以下の様に記載されているのです。
創業企業(創業前及び創業後1年以内)への融資は年間2万7,979先となりました。これにより年間9万5千人の雇用が創出されたと考えられます。革新的な事業に取り組む皆さまを「資本性ローン」により支援しています。事業再生や事業承継を図る小規模事業者の皆さまを支援しています。引用:創業企業、事業再生、事業承継などを支援|日本政策金融公庫
創業する者や企業に対して行われた融資は、年間2万件以上に上っており雇用創出に活用されたことが書かれています。
このように国民生活事業では、創業企業に対して積極的に融資を実施しているのです。
【中小企業事業】
中小企業事業は、融資、信用保険などの多様な機能により、日本経済の活力の源泉であり、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の皆さまの成長・発展を金融面から支援しています。引用:政策金融機関の業務の概要|日本政策金融公庫
中小企業への融資支援は、企業の発展・成長に必要な行為であることが書かれています。また、中小企業事業では中小企業に対し4つの事業・業務を実施しているのです。
- 中小企業者に対する貸付
- 中小企業者が発行する社債の取得
- 中小企業投資育成株式会社に対する貸付
- 中小企業者に対する貸付債権・社債の証券化
参考:融資業務|日本政策金融公庫
上記2つの業務内容を見ても分かる様に、日本政策金融公庫では創業間もない企業や運営実績の少ない中小企業等に対して積極的に融資を行っている金融機関なのです。起業時の資金調達においては、必ず融資の検討をする必要があると言えるでしょう。
2:創業時に使える融資制度9選
日本政策金融公庫は、創業時の最大の味方であるとお伝えしてきました。
そんな日本政策金融公庫では、一体どんな創業時に使える融資があるのか9つ紹介しましょう。
- ① 新創業融資制度
- ② 新規開業資金
- ③ 女性、若者/シニア起業家支援資金
- ④ 中小企業経営力強化資金
- ⑤ 事業承継・集約・活性化支援資金
- ⑥ 生活衛生新企業育成資金
- ⑦ ソーシャルビジネス支援資金
- ⑧ 再挑戦支援資金
- ⑨ 新事業活動促進資金
上記9つの融資制度は、すべて創業時に活用できる融資制度です。主な概要を紹介していきましょう。
日本政策金融公庫の金利については、下記の記事にて詳しく紹介しています。
関連記事:日本政策金融公庫の金利一覧!すぐ使える金利を下げる3つの方法
2-1:新創業融資制度
新創業融資制度を紹介します。
- 【利用条件】
- ① 新事業を始める、または事業開始後税務申告2期終えていない
- ② 雇用創出を伴う事業を始める・勤め先と同じ業種の事業を始める・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受け事業を始める・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める
- ③ 創業資金総額の10分の1以上の自己資金がある
上記①~③の全ての要件に該当する方が、利用対象です。
新創業融資制度で得た資金は、新な事業を始めるために必要とする設備資金および運転資金に利用することができます。
- 【融資限度額】
- 3,000万円(うち1,500万円が運転資金)
最高で3,000万円まで融資を受けることができ、原則として担保や保証人を用意する必要もないのです。
創業時の資金調達にお困りであれば、まずは新創業融資制度を考えてみると良いでしょう。
関連記事:【起業家へ】日本政策金融公庫の新創業融資制度の5つの概要と必要書類
2-2:新規開業資金
新規開業資金を紹介します。
- 【利用条件】
- ① 雇用創出を伴う事業を始める・勤め先と同じ業種の事業を始める・産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受け事業を始める・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める
新規開業資金で得た資金は、新事業に係る設備資金および運転資金に利用することが可能です。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-3:女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金を紹介します。
- 【利用条件】
- 女性または35歳未満か55歳以上であり、新たに事業を始める方もしくは事業開始後おおむね7年以内の方
女性、若者/シニア起業家支援資金で得た資金は、設備資金および長期運転資金に利用することが可能です。
- 【融資限度額】
- 直接貸付:7億2千万円(運転資金2億5千万円)
- 代理貸付:1億2千万円
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-4:中小企業経営力強化資金
中小企業経営力強化資金を紹介します。
- 【利用条件】
- ① 経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等によって市場の創出や開拓を行おうとする場合
- ② 事業計画の策定を自ら行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている
上記すべてに当てはまることが最低限の利用条件となります。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-5:事業承継・集約・活性化支援資金
事業承継・集約・活性化支援資金について紹介していきます。
- 【利用条件】
- ① 中期的な事業承継を計画、現経営者が後継者と共に事業承継計画を策定している方
- ② 安定的な経営権の確保などにより、事業の承継・集約を行う方
- ③ 中小企業経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項第1号の規定に基づき認定を受けた中小企業者の代表者もしくは同法第12条第1項第3号の規定に基づき認定を受けた事業を営んでいない個人の方
- ④ 事業承継の際に経営者個人保証の免除等を取引金融機関に申し入れたことがきっかけで取引金融機関からの資金長調達が困難かつ公庫が融資の際に経営者個人保証を免除する方
- ⑤ 事業承継・集約をきっかけに新たに第二創業または新しい取り組みを図る方
上記いずれかに当てはまるものが得た資金は、事業継承を行うために必要となる設備資金および運転資金に使用することができます。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-6:生活衛生新企業育成資金
生活生成新企業育成資金(新企業育成・事業安定等貸付)<特例貸付>を紹介します。
- 【利用条件】
- 生活衛生関係の事業を創業または、創業後おおむね7年以内の方
調達した資金は、設備資金および運転資金として利用することが可能です。
- 【融資限度額】
- ① 復興事業貸付
- 設備資金:1億5,000万円~7億2,000万円
- 運転資金:5,700万円
- ② 一般貸付
- 設備資金:7,200万円~4億8,000万円
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-7:ソーシャルビジネス支援資金
ソーシャルビジネス支援資金を紹介します。
- 【利用条件】
- ① NPO法人
- ② NPO法人以外であり(a)または(b)に該当する者
- (a)保育サービス事業・介護サービス事業等の経営者
- (b)社会的課題の解決を目的とする事業の経営者
上記①②のいずれかに該当する者であれば、事業実施のために必要な設備資金および運転資金に利用することが可能です。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-8:再挑戦支援資金
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)について紹介します。
- 【利用条件】
- 新たに開業する方または開業後おおむね7年以内で、以下①②③の全てに該当する者。
- ① 廃業歴などを有する個人または経営者が営む法人であること
- ② 廃業時の負債が新事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
- ③ 廃業の理由・事象がやむを得ないもの等であること
上記に該当するものであれば、調達した資金は新事業を始めるにあたり必要となる設備資金および運転資金に活用することが可能です。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
2-9:新事業活動促進資金
新事業活動促進資金について紹介します。
- 【利用条件】
- ① 経営革新計画の承認
- ② 新連携計画の認定
- ③ 農商工等連携事業計画の認定
- ④ 地域産業資源活用事業計画の認定
- ⑤ 地域産業資源活用支援事業計画の認定
- ⑥ 経営力向上計画の認定
- ⑦ 中小企業等経営強化法に基づく中小企業等の経営強化に関する基本方針に定める新な取組を行い、2年間で4%以上の付加価値額の伸び率が見込まれる方
- ⑧ ノウハウ・技術等に新規性がある方
上記①~⑧に該当しない場合は、次の(1)(2)のいずれかに該当しないかチェックしてみてください。
- (1)新たな経営多角化・事業転換を図る
- (2)経営多角化・事業転換後おおむね5年以内
上記のいずれかに該当する者であれば、当該事業を実施するにあたり必要となる設備費用や運転資金に利用することが可能です。
- 【融資限度額】
- 7,200万円(うち4,800万円が運転資金)
返済期間は、設備資金に使う場合は20年以内・運転資金の場合には7年以内とされています。
3:日本政策金融公庫のメリットとデメリット
日本政策金融公庫で融資を受けるメリットやデメリットは?
日本政策金融公庫という金融機関を知った今、利用するならメリットやデメリットを知りたいですよね。日本政策金融公庫で融資を受けるということは、基本的にはメリットしかないと言っても過言ではないでしょう。
しかしもちろん一般的なデメリットは発生します。利用する前に5つのメリットと1つのデメリットを把握しておきましょう。
- 【メリット】
① 圧倒的低金利
② 審査可決率が高い
③ 保証人不要
④ リスケ交渉OK
⑤ アドバイスをくれる - 【デメリット】
① 時間がかかる
上記5つのメリットと1つのデメリットについて詳しく紹介していきます。
3-1:5つのメリット
日本政策金融公庫で融資を受ける5つのメリットを紹介しましょう。
① 圧倒的低金利
日本政策金融公庫の最大のメリットと言えば、圧倒的な低金利だということです。日本政策金融公庫では2%前後の年利で融資を受けることができます。一方で消費者金融や他の金融機関であれば、3%以上の金利を支払うケースがほとんどです。日本政策金融公庫を利用することで、資金調達コストを最低限まで抑えることができます。
② 審査可決率が高い
日本政策金融公庫は審査可決率が高いことでも有名です。そもそも日本政策金融公庫の運営目的は「中小企業や小規模事業者を手助けする」ためとなっています。その為、収入が不安定な個人事業主や個人事業主でも融資を受けられる可能性が高いのです。
③ 保証人不要
一般的な金融機関で融資を受けるにあたり、保証人が不要ということは先ずありえないでしょう。しかし日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や「中小企業経営力強化資金制度」なら保証人は不要で利用することができます。
④ リスケ交渉OK
日本政策金融公庫では、返済が難しい状況に陥った場合に減額申請をすることが認められています。返済する金額を圧縮し、返済する期間を延長してくれるのです。そのため、月々の負担を減らしながら返済していくことができます。
⑤ アドバイスをくれる
日本政策金融公庫では、融資以外にも事業アドバイスをしてくれるのです。これは日本政策金融公庫に経営理念に書かれているもので、親身になって経営者を支えるということが実行されています。
お客さまの立場に立って親身に応対し、身近で頼りになる存在を目指す。
また日本政策金融公庫では、創業者のためのセミナーが定期的に開催されているのです。これから創業するという者にとっては、知識を吸収する絶好のチャンスとなるでしょう。
3-2:1つのデメリット
日本政策金融公庫で融資を受ける1つのデメリットを紹介しましょう。
① 時間がかかる
日本政策金融公庫で融資を受ける場合、平均3週間~1ヶ月前後時間がかかります。融資専門の機関であるため、預金業務などを行っていないからです。日本政策金融公庫は、あなたの通帳を見て残高や決算状況など資金繰りの状況を確認しなければなりません。銀行等の場合は、すぐにデータが確認できるため日本政策金融公庫よりも早い手続きを行うことが可能です。
最長でも1ヶ月ほどで融資は実行されるため、そこまで大きなデメリットではありません。しかしカードローンやキャッシング等の即日で融資を受けられるサービスと比較すると「遅いな・・・」と感じることがあるでしょう。
まとめ
日本政策金融公庫について詳しく紹介してきました。
日本政策金融公庫は、国が100%出資してつくられた組織です。
創業間もない中小企業や小規模事業者に積極的な融資を行っており、他の金融機関で断られてしまった者でも融資を受けられる可能性があります。創業時に力強い味方となってくれる日本政策金融公庫は、融資を受ける際には必ずチェックしておくべき金融機関です。